「文化は私たちの魂にとっての食物なんだと思います」~劇団ラ・バラッカ⑦~
劇団「ラ・バラッカ」は子どもだけを対象に演劇公演を行っています。ヨーロッパをはじめ世界各地で公演活動を行う中で、戦争など国際情勢の影響も受けます。イタリア・ジャパン・キッズシアターにおいて出演されたファビオ・ガランティさん、ジャーダ・チッコリーニさんに話を聞きます。
― ヨーロッパにおける乳幼児のための舞台芸術の重要性について、ラ・バラッカが牽引されていることがよくわかりました。今年で最終年ということですが、私たちも参加できたら嬉しいです。最後の質問は、2月24日に始まったウクライナでの戦争に関するものです。ヨーロッパの子ども演劇に携わる人々やそのネットワークへの影響をどうお考えですか?
G 信じがたいことが起こっています。戦争はヨーロッパでの移動にも影響があるでしょう。ただ、マッピングのプロジェクトとして開催している私たちのフェスティバルには、東欧の劇団は参加していません。一番東に位置しているのは、スロベニアのリュブリャナの劇団ですから、戦争の影響はまだありません。
F 今日行われた公演の前、ステージの上で、この戦争について考えていました。私は公演のたびに、自分の演技を祖父や祖母など身近な人に捧げるんですが、今日は、一刻も早く戦火がやむようにと祈りました。ようやくコロナと一緒に暮らす方法を学び、子どもたちに劇場で会えるようになったことは嬉しかったですが、同時に、別の場所で、戦火に巻き込まれた子どもたちのことを考えていました。とても悲しいことです。
G ウクライナは、ボローニャという地域にとっても、近しい関係がある国です。この街には、大規模なウクライナのコミュニティがあります。そして今、ここにはウクライナからの難民が到着し始めています。
F そしてもうひとつ、ラ・バラッカがロシアの企業から支援を受けていることも考えていました。ロシアのエネルギー会社ガスプロムは、欧州の文化活動を支援する企業の中で最も大きな寄付者のひとつです。戦争という状況に対して文化的な抵抗があることを願っています。
― 日伊櫻の会では、子どもたちにより文化的な環境や体験を提供することを目指して活動していますが、こうした取組みを通して、何かできないかということを仲間たちで話すことがあります。私たちに何ができるのか明確な答えはまだでていませんが、日本とイタリアで我々が同じことを考えていることに、励まされるように思います。最後になりますが、読者にメッセージをお願いできますか。
G 私たちが伝えたい最大のメッセージは、芸術と文化はとても、とても重要であるということです。
最も重要なものと言ってもよいかもしれません。人々は食べ物や薬の方が当然重要だろうというかもしれませんが、文化は私たちの魂にとっての食物なんだと思います。子どもたちにとっても同じです。我々はそれを忘れてはいけないと思います。
F 文化は目に見えない抱擁なんです。最後になりますが、私たちに機会をくれてありがとう。本当に嬉しかったです。(終わり)