「座・高円寺」でこども演劇を3歳児と観劇してきました!〜シアター・ブリック(デンマーク)『トーン』〜
こども演劇を初めて観劇することに
昔、建築雑誌の編集者をやっていた時から、伊藤豊雄さんの設計した劇場として存在はもちろん知っていたんですが、観劇するのは初めてでした。そもそも当時から高円寺は友達のライブを見に行くための街、飲み歩くための街だったもんで、こども演劇の観劇とは縁遠い生活をしていたのです。。。今回は3才の娘、また当時ライブで歌っていた友人夫妻とその子どもたちと観劇です。10年も経つと生活って変わりますね。
「座・高円寺」とは
さて、座・高円寺は正式名称が杉並区立杉並芸術会館といって、今回公演が行われた座・高円寺1のほか、座・高円寺2、阿波踊りホールなどがあります。高円寺といえば阿波踊りですが、その普及振興のための施設でもあるわけです。しかし!ここ数年、こども演劇に何かとかかわるようになった自分のような人間にとっては、座・高円寺と言えば子どもたち向けの演劇の殿堂なのです。初代芸術監督は黒テントから世田谷パブリックシアターを立ち上げられ、こども、演劇、街づくりの実践をされ続けている佐藤信さんがやられていています。ちなみに佐藤さんは座・高円寺のあと、横浜で若葉町ウォーフという劇場兼宿兼カフェ兼スタジオを運営されています。佐藤信さんは、当初から子ども向けの演劇に力を入れられていたようです。
『トーン』(シアター・ブリック/デンマーク)は子どもが音を発見していく感動体験
今回、我々が観劇した演目はデンマークのシアター・ブリックによる『トーン』。座・高円寺が毎年取り組んでいるプログラムで、海外で活躍する劇団を招致して行う「世界をみよう!」のひとつでした。クラウス・カールセンとガートルト・エクスナーによる男女の二人芝居です。対象は、0歳児からで30分ほどの演目です。
座・高円寺1は238席収容の中型ホールですが、その舞台のみを使って行われました。会場に入ると、色とりどりのパネルをつかったモビールが6本ほどのパイプで作られた木のようなものにぶらさげらています。観客が座るクッションとローベンチがそれらを取り囲むように配置されています。演者と観客の距離は近く物理的にも繋がっています。参加した親子たちは膝の上に子どもを乗せたり、思い思いの姿勢でリラックスした様子で始まりを待ちます。
公演は前触れなく舞台の端で佇んでいた男性のバス・クラリネットで始まりました。一音一音シンプルな音です。それに応えるかのように、女性が鳥のようにさえずりはじめました。女性は声のような歌のような音を出しながら、ステージをゆっくり歩き、パイプの木に固定されていたパネルたちをほどいてぶら下げていきます。パネルたちが擦れてぶつかってきらきらと輝きながら音をたてています。
次は、丸い木の板をトントンと指ではじいたり、爪をたててカリカリしてみたり。板を回転させると、板はウォンウォン、ババババババ、バタンと音をたててそのまま床に落ちます。こういった感じで、女性がステージの上で様々な音と出会っていきます。終盤、パイプの木に留められてた鉄製のわっかを留め具を順々に放していき、それに合わせてわっかがパイプを回転しながら落ちていく音が、クックックックック、カラカラカラカラカラカラ~と幾重にも重なるシーンが圧巻でした。
子どもが音を発見していく状況やその感動を舞台上で再現している様は、あっという間に30分がすぎていくほど面白いものでした。最初は難解に思えましたが、子どもたちも一人集中が切れる子がいるくらいで、そのほかの子どもたちは皆集中してみることができていたようです。
終演後にはアーティストの二人とお話する機会がありました。今回で4回目の来日だそうです。コロナもあって、7年ぶりの日本とのことでした。今秋に日伊櫻の会主催で開催する『つくば世界こどもシアター』が控えていることもあり、いつかつくばにも来てねと声をかけて、別れました。(つづく)
つくば世界子どもシアター2024
シアター・フォー・アーリー・イヤーズ(Theater for Early Years /略称TEY)と呼ばれる演劇があります。 0歳からの小さな子どもたちのために創られた演劇です。最高の芸術鑑賞者である子どもたちから学び、彼らのためにつくられるのがTEYです。つくば世界子どもシアターは、今秋TEYをリードする世界の劇団を招致します。また近い将来、つくばから新たなTEYが生まれることを目指します。
■日時 2024年
10月20日(日)14:00開演(13:30開場)
10月21日(月)10:00開演(9:30開場)
■会場 つくばカピオホール
詳しくは、「つくば世界子どもシアター2024」公式ウェブサイトよりご確認ください。