イタリアで暮らす人に聞くイタリアの夏休み②~ローマ~

イタリアで暮らす人に聞くイタリアの夏休み②~ローマ~


イタリアの夏休みは、6月から9月まで続く長いヴァカンツァ(バカンス)!今回、ローマから夏休みについてのインタビューに答えてくれたのは、レッジョ・ディ・カラブリア出身のフィリッポ・マリアーノさん。4歳の娘アンナちゃんと、1歳になる双子のルイージくん、アンドレアくんのお父さんです。仕事の関係でローマに暮らしているフィリッポさん。自身が子ども時代に過ごしたカラブリアの夏休みとは、ローマの環境は異なると話します。

ーアンナちゃんは、4歳になりましたね。夏休みには、何をしたいと言っていますか?

アンナは、草原に行って花を集めたり、海やプールに行って泳いだり、ママや私と一緒に絵を描いたりしたいそうです。そして今年は、まだやったことのない、とうもろこし畑にも行ってみたいとのこと。本を読みたいとも言っています。

ー草原で花摘みがしたいなんて、それはリラックスした夏休みが過ごせそうですね。どこでやりたいかは言っていますか?お住まいのローマか、それとも、フィリッポさんの出身地レッジョ・ディ・カラブリアでしょうか?

草原というのはおそらくローマでのことでしょう。デジタル機器と距離を置くために、ローマの公園にはよく連れて行くんです。小学校に上がったら、デジタルに囲まれるのは避けられないと思います。だから今は、モノの仕組みがどうなっているのかを、実際に見せてあげたいですね。例えば、パンがどうやって作られているのか、穀物とは何なのか。そうすれば、リアルとデジタル両方の世界を見ることができるようになります。そのおかげで、彼女は虫を怖がりません。

ーまったく同感です!では、ローマの人たちの典型的な夏休みを教えていただけますか?

ローマ人の典型的な夏休みの日の過ごし方には、いくつかのパターンがあります。

まず、1日でも休みがあれば、ローマから東に1〜2時間で行けるラツィオ州のビーチに行く人がいます。あまり美しいビーチではありませんが、便利な場所です。

一方で、西方にある山に囲まれた田舎に行く人もいます。そこには新鮮な空気、おいしい食べ物、美しい散歩道があり、芸術や中世の遺跡もあちこちで見られます。また、火山地帯の周辺には湖があり、泳ぐこともできます。最近は電動ボートしか使えないので、水もきれいです。

その他に、格安航空券で海外に行く人も多いですね。ローマから来た人はうるさいから、すぐにわかりますよ(笑)。   

8月のローマは、本当に素晴らしいですよ。ローマ人がいなくて観光客だけになるので、街が静かになるんです!

ーフィリッポさんは、南イタリアのカラブリア出身ですが、子どもの頃の夏休みはいかがでしたか?

学校は6月に終わって、9月に再開するから3ヶ月間の長い休みでした。私の祖父は、レッジョ・ディ・カラブリアから20キロ離れた崖の上に家を持っていました。夏休みになると、家族全員でそこに移り住み、父はその家から仕事に行っていましたね。夏の間ずっと、同じくその家に来ていた従兄弟たちと一緒に遊んだり、海で泳いだりしました。

1996年のアトランタ・オリンピックのときには、テレビで試合を見ながら、自分たちでもビーチでオリンピックを企画しました。私たちのためだけのビーチがあったんです。ジャンプしたり、走ったり、泳いだり、ニワトリを追いかけたり。崖を登ったりもしましたが、あれはちょっと危険なので、私の子どもにはしてほしくないですね(笑)。学校の宿題もありました。

ーえ、そうなんですか?イタリアでは、宿題はないのかと思ってました(笑)。

もちろん、ありましたよ!国語算数などドリルが1冊と、読書のための本が10冊。

ーアンナちゃんも、自分の子ども時代と同じような休暇を過ごすと思いますか?

私たちはローマに住んでいるので、状況が違いますね。ローマには親戚がいないため、子どもを見てもらったりは出来ませんから、別の過ごし方をしなければなりません。教会が主催するサマー・キャンプに参加したりします。

ー故郷カラブリアの夏休みは、今も変わらないと思いますか?

そうだと思います。地元に、私たちと同じ時期に第一子を出産した友人がいます。彼らは、近くに住む祖父母が赤ん坊の面倒を見てくれるので、子どもを保育園に預けたことはないそうです。私自身も保育園には行きませんでした。8月には、私たちもカラブリアの実家で夏休みを過ごす予定です。

ーいいですね!カラブリアに帰ったら、どのように過ごしたいですか?

何もないのがバカンスです。普段の生活からプラグを抜くことが必要です。自分自身を空っぽにして、次に備えましょう!

ーバカンスを私たちがちゃんと理解するためには、イタリアのビーチでひと夏を過ごす必要がありそうです(笑)。ありがとうございました。素敵な夏休みを!

(日伊櫻の会発行会報誌コムーネ2022年9月号より転載)