世界が注目するイタリアの幼児教育アプローチ「レッジョ・チルドレン」と「レミダ」③~アートと子どもと地域を結び付ける~

世界が注目するイタリアの幼児教育アプローチ「レッジョ・チルドレン」と「レミダ」③~アートと子どもと地域を結び付ける~


イタリア北部エミリア・ロマーニャ州の都市、レッジョ・エミリアで注目を集めるレッジョ・チルドレン。その中でも、レミダと呼ばれる取り組みは、アートと子どもと地域を結び付けています。地域とアート、子どもがどのように関係し合っているのか、現地の様子をお伝えします。

第4のステークホルダー:市民ボランティア

レミダの運営に欠かせないのがボランティアの方々です。私が訪問した際にも5-6名のボランティアの方が入れ代わり立ち代わりやってきていました。40名のボランディアは主に退職した人々で、教育者、保育士、縫製専門家など様々な方がいらっしゃいました。週数回レミダにあつまって作業されているようです。

集まってくる布地を縫製したり、本の整理をしたり、大きなシート紙を使いやすい大きさに切って棚に整理したり、働いていました。とにかく皆さん楽しそうで、にぎやかにおしゃべりしながら仕事をしていたのが印象的でした。地域の方々が子どもたちの教育を大切だと考え、自分のスタイルでかかわることができるのは素晴らしいなと思います。

あるボランティアの方は、もともとブラジルの方で、ローマで暮らしてきたそうですが、数年前にローマ育ちの夫とレッジョ・エミリアに越してきたそうです。もともとレッジョ・エミリアに生まれた人も、越してきた人も、このように地域と関わることで、地域を支える人間関係の網目も増えるように思います。

集められる産業廃棄物→アンストラクチャード・マテリアルについて

地域から集められる産業廃棄物は、新品である必要があり、サンプル、余剰物、非販売品、使用されない素材、例えば流行が終わった色の糸や生地などがあります。

マテリアルには3つの目的があるとされています。

1.子どもたちの教育に用いられる素材として
2.アンストラクチャード・マテリアルの可能性についてのリサーチ

a. 教育・文化目的で循環のサイクルの中に環流させていくことが目指されていて、レミダのスタッフの話には、アンストラクチャード(Unstructured)という言葉がよく使われます。まだ目的や意味が形作られていない素材という意味です。モノは多様な解釈に開かれていると捉えられていて、産業廃棄物もひとつの状態と位置づけ、異なる目的に使われたり、新しい意味を持たさつことができると考えられているようです。


b. マテリアルを何かべつの製品やオブジェに転換することは重視されていなくて、マテリアルが備えている「語り」の可能性が重視されています。子どもの持つ100の言葉の考え方に沿って、マテリアルは言語のひとつとみなされています。

3.プロフェッショナル・デベロップメントの一環に用いられる素材として

幼児教育にたずさわる教師だけでなく、環境教育を実践する企業にもワークショップの提供を行っているようです。子どもたちと同じように、自社の活動からつくられる産業廃棄物を、アンストラクチャード・マテリアルとしてとらえなおし、どのように社会に還流できるのか考える問いうことを求められているようです。(おわり)



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